松阪市射和町 白子屋メールマガジン バックナンバーNO2 王朝文学の里・斎宮
バックナンバー 3号
歳時記 岡寺山継松寺

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 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第 3 号 ━━━┛

伊勢の國「松坂」は射和(いざわ)の和洋菓子・白子屋が発行するメールマガ ジンです。
このメールマガジンは、白子屋のある射和を中心に、松阪、伊勢の国を 旅するコラムをメーンに構成しています。読者の皆さまに、コラムをお読みい ただくうち、この土地が育んだ風土を少しでも感じ取っていただければと願っ ています。    白子屋店主  白子 繁

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□  歳時記 岡寺山継松寺
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日本最初の厄除け観音として知られる、松阪市中町の岡寺山継松寺。毎年3月初 めに行われる、初午大祭は「初午さん」の愛称で親しまれる。3日間のおまつり の間に、10万人近い人々が訪れ、寺周辺の参道はごった返す。しかし、「初午さ ん」で知られる岡寺さんの素顔はあまり知られていない。 柏木弘雄住職によると、岡寺継松寺の起源は奈良時代の聖武天皇の勅願によって 創建された。現在地よりかなり海よりの場所にあったが、蒲生氏郷が松阪の街を 開いたことから現在地に移ってきた。 境内にある書院は、江戸時代初期の1629年に建築された当時の建築様式をいまに 伝えており、建築物としては最初に松阪市文化財の指定を受けた。松阪のまちな かは近代化されても、岡寺の広い境内だけは江戸時代の雰囲気が漂い、なぜだか 人々を懐かしい気持ちにさせる。 本堂の前の銅燈籠や銅香炉もこのお寺ならではの魅力。江戸時代に伊勢を訪れた 漂白の鬼才・蘇我蕭白の名作「雪山童子図」も伝わるなど、とことん江戸の息吹 を感じさせてくれる寺も珍しい。 初午のにぎわいは、すでに江戸時代、境内には見世物小屋や露店が軒を連ねたこ とでも、おおいに想像できる。幕末の1868年(慶応4年)の初午では、当時とし ては珍しいラクダの見世物小屋が登場。まつり見物の人たちをあっと驚かせた。 参詣者たちも、男装女装は当たり前、中には歌舞伎役者を真似た出で立ちもあっ て、町役人たちの不興を買い、取り締まり活動も目立ったとか。何とも松阪らし い活気であることか。

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□  大淀三千風
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江戸時代の三重県が生んだ著名文化人の代表と言えば、松坂の国学者・本居宣長、 そして、伊賀上野の俳人・松尾芭蕉ですね。されどわが射和としてはもう一人覚 えておいていただきたいのが、漂白の俳人と呼ばれる大淀三千風(おおよど・み ちかぜ)です。 芭蕉より5歳若い三千風は、豪商の里・射和の商家の出身。同じく商家の出身で家 業には向かず医学の道を志し松坂に生涯住んだ宣長とは異なり、生涯のほとんど を旅に費やしたそうです。それゆえ、「漂白の俳人」などと称されています。 三重はもともと文学の歴史が深く、平安末から鎌倉の初期にかけ、諸国を放浪した 西行は晩年、伊勢・二見に住み、優れた歌を残しました。500年のちに射和に生を 受けた三千風は、西行に憧れ、「東往」と称しました。

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□  編集後記
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射和。櫛田川沿いに開けたいたって小さな街ですが、歴史文化の宝庫です。やはり、 古代は川(櫛田川)が、近世は街道(熊野街道、伊勢本街道)が、人の行き来を活 発にし、地域経済を豊かにし文化をはぐくんだということでしょうか。射和を知れ ば、心が豊かになります。

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