斎宮での暮らしに対しては都でも無関心ではいられなかったことは、王朝文学の最高傑作とされる「源氏物語」や、「伊勢物語」にも斎宮での出来事が取り上げられていることでも分かります。
「伊勢物語」の主人公・在原業平は、神に仕える斎王とあってはならない恋をします。そのせつない思いを歌った和歌もあります。歴代の斎王は延べ60余代。華やかさの反面、言い尽くせない悲話もあったことでしょう。
そんな若き斎王たちの栄華を偲ぶまつりが、6月1日(前夜祭)、2日(斎王群行)の斎王まつりです。かつての宮殿跡はいま、のどかな畑や遺跡公園となっています。このあたりの名花・伊勢菖蒲も見頃を迎えます。近くには斎宮歴史博物館や、いつきの宮歴史体験館もあり、たっぷり1日楽しめます。 |
天皇の代わりに伊勢神宮に仕えるために都より遣わされた未婚の皇女・斎王。この斎王の宮殿が斎宮です。
ここでは、斎王に仕える女官や官吏ら数百人が奈良や京の都から移り住んでいました。
斎宮は伊勢平野のほぼ真ん中、明和町斎宮という所に、奈良、平安時代を中心に、およそ660年間にわたって存在しました。宮殿は、東西約2キロ、南北約1.2キロの中に基盤目状に大小の建物が整然と配置されていました。幅約10メートルの道路に仕切られた区画の中では、和歌はもちろん、都から持ち込まれた貝合わせという遊びや蹴まりなどのある雅な暮らしが営まれていたことでしょう。
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